大塚家具に見る経営者とビジネスモデルについて
大塚家具の経営不振
大塚家具の経営不振が止まりません。
久美子社長(先代の娘)になってからなのか、それとも代替わりする前からなのか。。
IKEAやニトリなど儲かるところは好調な家具業界ですが、大塚家具はそのなかで沈みつつあるブランドです。
大塚家具の品は間違いがない、家具が大塚家具のものであれば自慢できる。
とまで言われていた時代があり、それを思うと現在の状況は寂しいものがあります。
経緯
高級路線で会員制だったビジネスモデルに翳りが見え、株主総会で創業者である先代と社長の座を巡って争って勝利した久美子さん。
しかし、そこから5年も経たずに現在の状況に陥っています。
ネットなどでの雰囲気を見ると、経営不振は経営者が変わったことによる影響という空気があるようです。
しかし本当にそうなのかはわかりません。そもそもの高級路線ビジネスモデルが既に実質的に破綻していて、それをなんとか修正しようとした久美子社長ですが、時すでに遅く立て直しきれなかった。
という可能性もあります。
経営者の責任
しかし、どのような経緯やハンデがあろうと会社の経営に対して責任を負うのは経営者です。
久美子社長には会社に対する愛着や執着、自分の経営手腕に対する自信などがあったかも知れませんが、結果が全てです。
残念ながらこのような結果になったことについて、責任を取る必要があるでしょう。
今回の再建問題について社長の座を降りることになったとしても文句は言えません。
ビジネスモデルの限界
時代時代に合ったビジネスモデルがあり、そこから外れたものはそもそも成功しない。そして、もし成功したとしても未来永劫そのビジネスモデルが有効なわけではありません。
かつて若者の就職希望先の上位を占めていた銀行、大手家電の多くも苦境に陥っています。銀行は一時期国の救済が入り大批判を浴びました。今もバブル時代のような勢いはなく、ITの発展による金融そのものの大転換期に対応できるかどうかの瀬戸際にきていると思っています。
大手家電も東芝やシャープのように経営が成り立たず外資に身売りしたり、NECのように大量の人員削減があったりととても大変な状況です。
銀行や大手家電の会社がこのような状況に陥ったのは、そもそものビジネスモデルが限界に来ているからだと思っています。
かつての就職先ランキングでも上位に来ていた業界ということで、社員の方はみな優秀だと思います。しかし、どんなに現場が優秀でもビジネスモデルが時代と合わなくなっていれば苦しくなります。
冷蔵庫、エアコン、洗濯機などは既に家庭に揃っており、爆発的な売り上げは見込めない状況と言えるでしょう。いくつかのヒット商品を出しても全体の売り上げが何十%も伸びるとかそういうことはありません。
また、銀行も雨の日に傘を貸さないと言われてきて、資金調達の手段をクラウドファンディングやソーシャルレンディングなどの他手段に徐々に奪われてきています。
また、Amazon銀行やメルカリペイなどこれから先に来る決済手段の囲い込みも銀行にとって脅威だと思います。
お金は基本銀行に預金し、必要時にそこから払う(カード払いなど)のが今までの多くの個人の現金の保有方法でしたが、これから先はメルカリポイントやamazonポイントなどがそのプール先の選択肢にあがるかも知れません。
また、特にAmazonなどの”何でも買える”サイトにおいては、普通の銀行を経由することにメリットを感じずに、その経済圏だけで暮らしていけるのでそこに全部プールしておく、という選択をする人も出てくるのではないでしょうか。
変化に強い会社とは
どんなに強いビジネスモデルであっても、未来永劫変化せずに勝ち続けるということはできません。時代時代に合わせて少しずつでも会社を変化させ、時代に適応させていくことが必要です。
社長が変わる前の大塚家具のビジネスモデルが時代に合わないものだったかどうかはわかりません。わかるのは久美子社長が率いる現在の大塚家具が時代に沿っていないものだったということだけです。
そして、その責任も現在の経営陣が取るべきです。
個人株主はそれでも大塚家具の株を保有するか売るかの選択肢があります。
復活に賭けて保有し続けるも良し、全て売り払うも良しです。
ただ、今保有している人は完全な玄人か完全な素人かどちらかに二極化しそうな気もしますが。。
では。